ウォーキングマシンによるトレーニング – 必要不可欠なトレーニング
ウォーキングマシンは今日の馬を管理する人達にとって必要不可欠なトレーニングになっています。馬が一日中厩舎の中で過ごしていたり、牧草地で放牧している状態であっても、それは本来馬にとって必要な運動量に到底足りていません。
1日のルーティーンにウォーキングマシン運動を組み込むことは、馬に必要な運動量を与えることができ健康増進や怪我や病気の予防に繋がります。
なぜウォーキングマシン運動が必要なのかについていくつか理由をあげてみましょう。
– 馬に十分な運動量を与えることができる。怪我など様々な理由で普段の運動ができない場合でもリハビリテーションとして使用することができる。
– ウォーキングマシン運動を普段のトレーニングにプラスしてコンディショニングを行える。
– ウォーキングマシン運動により体調が良くなることで、怪我や病気のリスクが軽減される
– 馬が怪我により療養している場合、運動を開始する最初のステップとしてウォーキングマシン運動を行うことで落ちた筋肉やついた贅肉を元の状態に戻し、運動できるコンディションまで整えることができる。

ウォーキングマシン運動のメリット
ウォーキングマシン運動を行う理由については上記でご参照いただきました。次は、ウォーキングマシン運動のメリット、どんな価値があるかについて説明いたします。
ウォーキングマシンを使用することで、馬に不足している運動量を与えることができるだけでなく、時短できるというメリットがあります。つまり、馬の健康状態も良くなり、管理している人にとっても労働時間の短縮や、他の作業に充てる時間ができるため、まさにWin-Winのマシンと言えるでしょう!
ウォーキングマシン運動のメリットについて以下にまとめました:
– 怪我や体調不良の防止:運動前のウォームアップと運動後のクールダウンができる。
– 効率的な運動スケジュールを組める:同時に複数の馬の運動ができる。
– 馬の健康状態とスタミナの向上。
– 負傷してしまった馬のリハビリテーションとして導入できる。
ウォーキングマシン運動のメリット-馬のフィジカル面からのアプローチ-(身体的メリット)
ウォーキングマシンによる運動は馬の身体にポジティブに作用します。それぞれの臓器や体の部位に与える影響は以下をご覧下さい:
- 骨: 骨組織の強化、病原体やがん細胞に対する防御機能を強化。
- 背中: 背筋の発達。
- 筋肉: 血液の飽和度を高め、筋肉細胞の活性化と筋肉の老化防止。
- 肺: 血液の飽和度を高め、酸素供給と二酸化炭素排出サイクルの向上と改善。
- 心臓: 心筋を強化し、供給効率を高め、脈拍数と 血圧の安定化。
- 脳: 血液の飽和度を高め、脳の覚醒や知性の向上。
- 反射神経: つまづいたり、バランスを崩した時の反応速度の向上。
- 疝痛: 予防と治療に非常に効果的。

ウォーキングマシンを安全に使用するために
ウォーキングマシンは安全なトレーニング方法ですが、使用方法によっては怪我を招く恐れもあります。弊社では事故防止のための注意喚起もおこなっております。
例えば、牡馬(スタリオン)のトレーニングで使用する際は、同じタイミングで運動する馬は牡馬 または せん馬(去勢された馬)で行うことをお勧めいたします。
せん馬の場合は、牝馬や若い馬と一緒にトレーニングが可能です。*
まずは30分以内のトレーニングから始め、様子を見て徐々に時間を長くしていくことが大切です。
*馬の性格や気性によって異なるので、管理責任者のご判断を第一にお願いいたします。
まだ鉄を履いていない馬や、足元や蹄に課題がある馬には特に、Equitrackを使用して敷いた砂の馬道がおすすめです。
ウォーキングマシンの馬道に使用するフロア選びは、使用するウォーキングマシンのタイプと同様馬にとって非常に重要な要素になります。
ウォーキングマシンを初めて使う馬に対する馴致方法
ウォーキングマシンを初めて使用する馬に対する馴致方法について、こちらで順を追って説明いたします。
その前に、このステップは一般的な推奨事項に過ぎず、どの馬にも当てはまるというわけではないことをご理解ください。
トレーナーや馬の管理者の方は馬の状態をよくご確認の上、ウォーキングマシンで運動する馬ごとの体調に合わせてトレーニングスケジュールを調整して下さい。
まず、仕切りの仕切りフェンスの電気ショックをOFFにしてください。
1名がコントロールBoxでウォーキングマシンを操作し、もう1名が馬と一緒にマシン内に入り、引き馬をして馬道を歩きます。(ゆっくり歩くペースにスピードを落として下さい) 少なくとも馬と一緒に2周は歩き続け、馬が マシンそのもの・サイズ・新しいトレーニング方法 にに馴れるようにします。
馬がウォーキングマシンに馴れたらマシンを停止し、コントロールBoxで方向転換を設定します。ウォーキングマシン内で馬が方向転換するのを手助けすることが重要です。時間をかけてさらに2周続けて下さい。
この時点で馬が馴れてきていれば、馬だけ中に残し、別の経験豊富な馬をウォーキングマシンの中に入れることをお勧めします。理想は、両方の馬の間に間隔をあけてウォーキングマシンを再起動します。この先輩にあたる馬が、落ち着いて経験の浅い馬を導いてくれるはずです。

ウォーキングマシン運動を継続することで得られる効果
ウォーキングマシン運動を継続して行うことで、普段の運動だけでは不足している馬本来に必要な運動量を確保することができます。その効果として、以下のようなことが期待できます:
- 性格・気質: ペースを重視したトレーニングで集中力を高めることにより、ベストを尽くせるようになります。
- 脚: インターバルトレーニングにより骨密度の増大・改善につながります。
- 可動域: 様々なスピードにすることで、可動域が広がります。
- 柔軟性: 継続することで歩幅が大きくなり、身体の柔軟性・動きのしなやかさが向上します。
- 反射神経: 反射神経が良くなることで、怪我のリスクを軽減できます。
また、ウォーキングマシンによる定期的な運動に合わせて最適な食餌管理をすることで更に以下のような効果が期待されます:
健康上のトラブルの減少。
足元と蹄のトラブルの顕著な減少。
筋肉の発達。特に背中と腰の筋肉の成長。
柔軟性と反射神経の向上。
怪我の減少。
運動失調症(神経系の障害)のリスクの低下。
離断性骨軟骨症*のリスクが60%減少。
*関節の軟骨の肥厚化により栄養供給が損なわれて軟骨細胞の壊死が起こる病気
関節炎のリスクの低下。
Molenkoningのウォーキングマシンについてもっと詳しくお知りになりたい方は、是非弊社の担当者にお声がけいただくか、カタログのリクエストをお送り下さい。
ウォーキングマシン運動でコンピューター・コントロールBoxを使用したトレーニングプログラム
ウォーキングマシンのコントロールBoxのスタンダードモデルには、スピード調節や左右の手前変換のAUTOモードなど十分なトレーニングをするための操作が備わっています。
より細かい運動メニューを行いたい場合や、馬ごとに運動メニューを管理したい場合はコンピューター・コントロールBoxによって実現できます。この特別なコントロールBoxは操作がタッチパネル式で、ペースや速歩の頻度だけでなくラップタイムも設定することができます。トレーニングの成果を可視化することができる画期的な方法です。
ウォーキングマシンの歴史:
ウォーキングマシン運動が厩舎運営において重要な項目だと認識されるようになったのは20世紀半ばのことです。人間にとってもですが、もちろん馬にとってもコンスタントに運動を続けることは多くのメリットをもたらします。当時から生産者(ブリーダー)の間でも若馬時代から放牧以外の運動を行うことは馬の成長に大きく良い影響を与えると熟知されていました。しかし、ウォーキングマシンをコンスタントに製造しているメーカーがなかったため、多くの厩舎のオーナーは自分で調達した素材や部品で自家製のウォーキングマシンを作り使用していました。
そして現在ではウォーキングマシンは世界中で必要とされており、弊社Molenkoningは世界中のお客様からのリクエストを受けて様々なタイプのウォーキングマシンを提供しております。
ウォーキングマシンは生産牧場、競走馬・競技馬の厩舎、種馬の厩舎、乗馬クラブ、そしてプライベート厩舎において大変重要な役割を担っています。